全学日協について
ご挨拶
全日本学校法人日本語教育協議会(以下,全学日協)は2017年に,法務省入国管理局の告示校の中で,文部科学省・都道府県から認可を受けた学校法人の日本語教育機関が集まって作られた組織です。発足の目的は,国の認可を受けた学校法人立の日本語学校の責務として,日本語教育を通して日本社会の発展に資することのためです。
私は,初代の長沼一彦代表理事(長沼スクール)のあとを継ぎ,二代目の代表に就任させていただきました。初代代表理事の意思を継ぎ,本会の会員の発展と成長に努力していきたいと考えております。
2019年12月に始まった新型コロナウイルス禍は、瞬く間に世界に広がり,WHOがパンデミック宣言をするほどになりました。IMFの調査によると世界経済は世界恐慌以降最大のマイナス成長に陥りました。人の移動そのものが停滞するという未曾有の事態を迎えました。外国からの日本入国も不可能となり,日本語教育や日本語学校にとっては,多大なる影響を受けることになりました。こうした時期に,全学日協は情報を共有し,学校法人としての責務を追求しながら,各校が互いに成長していけるよう,協力し合っていきます。
〔過去最大の日本語教育機関数と、学習者数の背景〕
一番の背景は,過去最大の現在700校を数える日本語教育機関の急増,過去最大の外国人学習者の急増です。
〔日本語教育そのものを追求する団体〕
このような状況の変化の中で,見落とされているのは日本語教育そのものの在り方,質です。そこで,2016年に情報交換の連絡会としてスタートし,一般社団法人となりました。
私達の日本語非母語話者に対する日本語教育に対する姿勢の延長には,日本人の日本語への理解や,聴覚障害者などへの日本語教育など,幅広く深く日本語教育の可能性を広げていくことがあります。
〔温故知新の姿勢での取り組み〕
「温故知新」という言葉は、どの時代にも生きているものです。
私達は,1950年に設立された学校法人長沼スクール東京日本語学校を始め,1975年に設立された学校法人江副学園新宿日本語学校など,教育の歴史と蓄積がある学校法人立の日本語学校を中心に,過去・現在・未来を視野に入れた日本語教育のあり方を問い続ける団体として誕生しました。
私達は,学ぶべき課題を過去の歴史と照らし合わせながら,未来に活かす組織です。
〔実際の行動・知識と経験の共有〕
団体の会員校は,それぞれにスピーチコンテストやその他の学生中心の催し物を独自に開催しております。現在,相互に参加,協力し合い,それぞれの良さを互いに吸収して,会員校全体,日本語教育界の質の向上に努めます。
〔もう一つの課題〕
日本語教育の裾野の広がりに伴い,日本語教育や日本語教育機関の目的も拡大しつつあります。従来は,「進学等の通過機関としての役割」が大きかったのですが,来日する学習者を見ると,既に自国で高等教育を受け,来日目的が日本での就職という例も拡大し,「日本語教育そのものを目的とした機関の役割」へと拡充してます。
現状では,学校法人立の日本語学校は,学校教育法の枠組みでは,各種学校に位置付けられています。しかし,既に世界は,日本語教育を専門に行える「日本語専門学校」の設立を期待している時代に変化しました。
こうした変化への対応を踏まえて,日本語教育の位置付けを,より充実した体制のもとで昇華させることも活動の一つと捉えております。
〔研究会の開催と講習会の開催〕
歴史と経験のある学校が集まり,日本語教育を中心的な課題として協議をする組織です。十分整備されてはいない中級以上の教材,副読本の研究会などの準備も既に開始しており,日本語教育全体にプラスの影響を及ぼしたいと考えております。さらに,本年度内に,教授法等の講習会を開催予定しております。また,若手教員の育成にも力を注いでいきたいと考えております。
歴史ある学校が集まり,過去・現在・未来を見据えた活動を開始し,各省庁,各団体等とも連携を取りながら,ともに日本語教育の発展に貢献していきたいと考えております。
理念
社会の一員としての日本語学校のあるべき姿を追求し、自らを高める意欲と行動の下に、その果たすべき役割の実現を目指し、延いては全ての日本語教育機関に一石を投ずることを希求する。その運営は会員が一致協力・協調して当ることを旨とする。
- 日本語学校は社会の一員であることを自覚すべきである。
- 教育機関の一として、その社会的責任は言うに及ばず、教育の品質の保証・外的環境の変化などに対応する力を常に備えるべきである。
- 本来期待される役割をもっと広く捉えるべきで、外国人の受け入れのみの教育機関と自らを規定することは必ずしも正しくないと考える。
- 上記を含め、"より良い社会の一員"であるべき日本語学校の地位向上の為にも、問題意識を持ち・良識ある学校法人が結集し、共に行動をすることとする。
- 会員には、協議会として取り組む活動と課題の克服のために、旺盛な意欲と行動力をもってことに当り、協力・協調することが求められる。以って各自の飛躍並びに経営の活性化に資することを志向する。
- 協議会は、積極的な活動並びに説得力ある提言を通して、これからの社会並びに世界に求められる日本語教育機関の新しい姿を主導せんとし、その使命感と気位を持つべきである。
目的
- 会員校に貢献する。
- 日本語学校の教育の質に貢献する。
- 学校法人のレゾンデートルを高める。
- 日本語教育界に貢献する。
- 日本・国際社会に貢献する。
ミッション
- 学生確保,市場確保に貢献する。
- 教育の自己点検に貢献する。
- 教育の評価施策に貢献する。
- 日本語教育機関の類型化に貢献する。
- 広範な人材育成に貢献する。
これまで
2017年8月 設立準備会(学校法人立日本語学校11校)
2017年9月 一般社団法人設立登記完了
2017年9月 日本語教育推進議員連盟と日本語教育振興基本法の協議
2017年9月 文化庁「第8回日本語教育推進会議」
2018年1月 文化庁「日本語教育人材の養成・研修の在り方」
2018年3月 日本語教育推進議員連盟と日本語教育振興基本法の協議
2018年6月 文化庁「日本語教育人材養成・研修カリキュラム等開発事業」
2018年9月 文化庁「第9回日本語教育推進会議」
2021年9月 「コロナ禍における日本語教育機関の経営実態調査」報告
2021年11月 全省庁統一資格取得
2021年~ 文化庁「令和3年度ウィズコロナにおけるオンライン日本語教育実証事業」
※出入国在留管理庁,文化庁,文部科学省,日本語教育推進議員連盟等と協議活動
※会員校研修